【分かりやすい】さまざまなメリットがあるコンポストとは?

少し日が経つと、あっという間に虫が湧いたり嫌な臭いしたりする生ごみ。お家でエコに処理することを「コンポスト」と言います。

この記事ではコンポストがどういうものなのか、メリットデメリットやお家での始め方について、分かりやすく解説します。

コンポストとは?

近年話題になっている「コンポスト」ですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

コンポストとは、お家で出てしまう生ごみなどを微生物の力を借りて、発酵・分解させて堆肥にすることです。堆肥は一言でいうと植物のための肥料。

また、コンポストのための容器のことを「コンポスター」と呼びますが、最近は容器・システムをあわせて「コンポスト」とすることも多くなってきました。

 

ゴミとして処理していたものを土の栄養にし、野菜を育てたりガーデニングに活用したりする小さな循環が環境や経済に優しいことや個人で出来るごみ問題解決のための貢献として注目を集めているのです。

歴史

実はコンポストは近年できた新しい仕組みではなく、人類は昔から活用していました。特に化学肥料などがなかった頃は農家にとっては必須。日本では稲作が広く行われていたため、生ごみや糞尿などを自作で堆肥にして活用していました。

 

ごみ収集や下水道などのインフラがなかった昔は、資源をフル活用し、生活を豊かにしていました。このように感謝して資源を余すことなく使い切るという、古くからの暮らしの知恵なのです。

 

しかし、当時は技術としてまとまっておらず、自然任せのやり方や経験を活かしたものでした。それを体系的にまとめたのがイギリスの植物学者アルバート・ハワード氏です。

インドのインドール地方で10年間かけて研究を進めたハワード氏は「インドール式堆肥化法」を確立。この技術は堆肥づくりの元祖として評価されています。(参考:KITA

変化のメカニズム

実はコンポストは、自然界の生態系システムそのもの。

例えば、動物の死骸などは微生物のエサとなり、土に還りますよね。そしてその土が植物を育てる。コンポストはこの循環と同じなのです。

 

画像引用:株式会社伝善

 

私たちの身の回りには目に見えないたくさんの微生物がいますが、コンポストに生ごみをいれると、そういった微生物が生ごみなどを分解してくれるのです。微生物の活動により生ごみは水と二酸化炭素に分解され、中身が増えたら取り出し、堆肥として利用します。

ごみが減るだけではなく、コンポストを通じて自然の循環を肌で感じることで、食べ物への感謝がより一層深まることもメリットのひとつなのです。

メリット、デメリット

食べ物への感謝が深まることがメリットの一つとお伝えしましたが、他にどのようなメリットがあるのでしょうか。また、デメリットについても詳しく説明します。

メリット

・ゴミが減る

最大のメリットはやはりゴミが減ることではないでしょうか。

特に夏場はゴミの日まで生ごみを保存しておくとすぐに匂ったり、べとついたりと不快な思いをされる方も多いはず。

しかし自宅にコンポストがあるとゴミの日を待たずに生ごみを処理することができるのです。生ごみが減ることでごみ出しの回数やごみ袋の購入が減ることも大きなメリットです。

地域単位でみると、ごみが減ることで焼却量が減り、二酸化炭素の削減とごみ処理に使われる資金(税金)が減ることになります。

 

・家庭菜園やガーデニングに活用できる

化学肥料にも栄養はたくさん含まれていますが、土壌中の微生物のエサが含まれておらず、土の中の微生物は死んでしまうのです。

しかしコンポストでつくられた堆肥には、植物のための影響も微生物のエサになる有機物も豊富に含まれており、土壌改善の効果もあります。そのため植物に栄養が十分にいきわたり、元気に育つそうです。

デメリット

・手間や時間がかかる

コンポストの設置のためには容器の準備や設置場所の確保が必要です。自分に合った容器を探したり、設置場所を作ったりすることを手間と感じる人も少なくないのではないでしょうか。

そして、コンポストの種類によっては堆肥になるまで長くて4か月ほどかかり、その間微生物に空気を送るために定期的にかき混ぜる必要があります。

 

・処理できるごみに制限がある

プラスチックやガラスなどが自然界ではほとんど分解されないことをご存じの方も多いかと思いますが、微生物が分解しづらい生ごみもあります。

コンポストの種類にもよりますが、一般的には貝殻、栗・タケノコ・トウモロコシなど分厚い皮、味噌など塩分が多いもの、動物の骨などは分解しづらく、入れない方が良いとされています。

 

・虫や悪臭が発生する場合も

生ごみを入れすぎてしまったり、水分が多くなりすぎてしまったりすると虫や悪臭が発生する場合もあります。しかし、脱臭フィルターがついているコンポストを購入する・生ごみを入れた後しっかり土で覆うなどの対策方法はあるため、心配な方は詳しく調べたり、店員さんに詳細を聞いたりすることをおすすめします。

種類は?

ここまで読んでくださった方で「コンポストを始めたい!」と思われた方もいるのではないでしょうか。コンポストの種類を紹介します。

市販のもの

・設置型

広めのスペースがとれるご家庭におすすめなのは設置型のコンポスト。

そこに大きな穴が開いたバケツのような容器で、設置したい場所にセット。この中に定期的に生ごみや落ち葉を入れて、使います。容器がいっぱいになったら、上から土をかけて1ヶ月~数カ月放置するだけで、堆肥ができます。

 

・回転式

種類によって大きさは変わりますが、ベランダや室内向けの商品も多いのがポイント。

容器にハンドルがついたタイプで、直接ごみや土に触れることが少ないため初心者におすすめのコンポストになります。

容器に生ごみをいれてハンドルを回転させることで堆肥を作ります。

 

・密閉型

密閉型の大きな特徴は生ごみを入れると液体の肥料が出ることです。これを薄めて堆肥として利用できるため、家庭菜園などを行っている人には人気。

しかし、生ごみなどを入れる際に臭いが気になるという声も多いため、マンションなどの集合住宅では注意が必要です。

手作りでもできる!

コンポストは市販の容器以外でも、身近なものでチャレンジすることができます。

・段ボール

段ボールにピートモスやモミガラ燻炭といった資材を入れて、生ごみを入れるだけでできるコンポスト。生ごみ投入後はよくかき混ぜて、三週間ほど熟成させることで堆肥ができます。ただし、水分量が増えすぎるとにおいや虫が発生してしまうので、投入前に少し乾燥させておくと良いでしょう。

 

・ミミズ

DIYが好きな方に人気なのがミミズコンポスト。容器の中にミミズを住まわせて、ミミズに生ごみを分解してもらうコンポストになります。臭いが出にくいことや質のいい堆肥ができることが特徴です。しかし虫が苦手な方には向かず、ミミズの活動量が落ちる冬には処理速度が落ちてしまうなどのデメリットも。

まとめ

一言に「コンポスト」といってもさまざまな種類があります。

中にはほとんど全自動のものや手軽に始められる鞄型のものなども発売されているので、ご自身が一番やりやすい方法で始めてみるのはいかがでしょうか。自然に触れ合うことでストレスの軽減になるという声もあります。さらにご家庭で始める場合は、大人だけでなく子どもにも良い学習の場となります。

地球にも自分にも優しい循環生活を一緒に始めてみませんか?