脱炭素社会とは。概要と具体的な方針
脱炭素社会を聞いたことがありますか。令和2年に政府が「2050年までにカーボンニュートラル(脱炭素社会)を目指す」という表明を上げている為、聞いたことがある人もいるかと思います。今回は脱炭素社会の概要や具体的な日本の方針を紹介いたします。
脱炭素社会とは
脱炭素社会とは、二酸化炭素の排出をゼロにした社会のことを言います。現在、私たち人間が暮らしていく中で、二酸化炭素は多く排出されています。それは、自動車や電車の使用という身近なものから、企業が自社製品を作るために機械を動かすことまで、幅広く存在します。これらの二酸化炭素の排出を少なくし、かつ削減できなかった分を別の方法で相殺し、実質ゼロにするのが脱炭素社会です。
なぜ脱炭素社会なのか
脱炭素社会にする理由は、地球環境の悪化を防ぐためです。二酸化炭素は温室効果ガスという種類に分類されます。温室効果ガスは熱を保つ機能を持っているため、濃度が増えてしまうと地球の気温が上昇してしまうのです。これが地球温暖化です。つまり脱炭素社会を目指すことは地球温暖化の対策をすることになります。
地球温暖化の影響
では脱炭素社会を実現できなければどうなってしまうのでしょうか。まず前述した通り、地球温暖化が進んでしまいます。その結果、気候変動や異常気象、海面や海水温上昇を起こしてしまいます。これらの現象は生態系に影響を及ぼすことはもちろん、人間の生活を脅かすことにもつながります。
脱炭素社会とパリ協定の関係
説明した影響は世界的にも証明されており、今でも起き始めています。そんな中、世界ではパリ協定という方針が発表されました。パリ協定は「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標を持っており、これを達成するためには温室効果ガスを削減する必要があります。要するに脱炭素社会を目指すことはパリ協定の目標を達成することになるのです。
脱炭素社会を実現するには
脱炭素社会を実現するには二酸化炭素を排出してしまう行動を変える必要があります。具体的に例えると、ガソリン自動車の利用をやめて電気自動車を使うことです。日本では政府が脱炭素社会を実現するための方針を掲げています。
日本の方針
日本政府では政策集として「グリーン社会の実現」という内容を発表しています。そのページから方針を抜粋し、簡単に説明します。
- 革新的なイノベーションの推進
次世代太陽光発電、低コスト蓄電池、カーボンリサイクル等のイノベーションに挑戦する企業を支援し、最先端技術の開発、実用化を加速させます。 - エネルギー政策の推進
再生可能エネルギーを拡充し、インフラの増強を行い、安定的なエネルギー供給を確立します。 - グリーン成長戦略の実行計画
今後の成長がカギとなる14の産業に対して目標、課題、取り組みを明記しました。 - グリーン成長に関する情報公開
環境と経済に関する情報や統計等整備します。 - 脱炭素ライフルスタイルの転換
地球温暖化対策になる製品、サービスの利用、ライフスタイルの選択などの取り組みを進めます。 - 新たな地域の創造
ゼロカーボンシティを掲げた地域の取り組みを支援し、脱炭素地域を創出します。
具体的な脱炭素社会への取り組み
具体的な脱炭素社会への取り組みとして、実際に環境省から令和2年3月7日に発表された「脱炭素型ライフスタイルの施策について」を紹介します。
具体例(脱炭素型ライフスタイルの施策について)
この資料では長期的に生活全体に関する二酸化炭素排出の大幅削減として、家庭由来の二酸化炭素を現在の4割削減する必要があるとされています。そのために、「食」「住居」「移動」における脱炭素ライフスタイルへの変革が求められています。具体例は下記の通りです。
食
- 食品ロスの削減
- 野菜を増やした食生活
住居
- 断熱リフォームの実施
- ZEHへの住替え
- 再エネ電気への切替え
移動
- 公共交通機関の活用
- エコドライブの実施
- エコカーの活用
- テレワークの推進
またこの資料では、日本国民の環境問題への危機意識や関心が低いことも課題に挙げられており、この課題を解決するために情報発信や地域活動の支援をあげています。
以上、脱炭素社会についてでした。脱炭素社会というとスケールを大きく感じがちかと思いますが、達成のためには一人一人の行動がカギとなります。今後は日ごろの行動や選択を環境に優しいものに変えていきましょう。