エシカルとは?~さまざまなモノ・コトとの関係~
皆さんはエシカルという言葉をご存じですか?あまりなじみのない言葉かもしれませんが、ここ数年は日常生活で目にすることもあると思います。今回はエシカルを知らない方に向けて、エシカルの意味やどんなことと関係しているのか詳しく説明します。
エシカルとは
エシカルとは「倫理的」を表す英語です。「倫理的」といわれると難しいものに感じるかもしれませんが、簡単にいうと「この選択をした方が世の中もっと良いよね」と様々な視点から、地球環境や、人、社会、地域などに配慮した考え方のことを言います。
なぜエシカルなのか
「エシカルファッション」や「エシカル消費」という言葉の場合、エシカルは「環境や社会に優しい」という意味で使用されています。「環境や社会に優しい」という意味で使用されるエシカルは、ある出来事からよく聞くようになりました。それはSDGsという国際社会共通の目標が出来てからです。
エシカルとSDGs
SDGsとは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。この目標は2015年9月の国連サミットで採択されて以降、国のみならず自治体や企業、民間団体等、様々な組織で取り組まれるようになりました。SDGsを達成することは環境問題や社会問題を解決することにつながります。つまり、SDGsとエシカルは深く関係するのです。そして、このような背景からエシカルという言葉が使われ始めたのです。
エシカルは何を解決できるのか
前述した通り、エシカルは「環境や社会に優しい」という意味で使用されています。そのため、エシカルという言葉が付いたサービスや商品を利用することは、環境や社会に優しくすることになるのです。環境や社会に優しい活動をしたいと思っても、どんな活動をしたらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そんな方でも簡単に環境や社会に貢献できるのが、エシカルなサービスや商品なのです。
エシカル消費とは?
エシカルな商品やサービスを通して消費活動し環境問題や社会問題に貢献することをエシカル消費と言います。
エシカル消費が必要な理由
現在の地球では様々な問題が存在します。これらの問題を解決できないと、地球に住めなくなったり、すべての人が幸せに暮らせなかったりしてしまいます。私たち人間が長く暮らしていくには環境問題や社会問題を解決していかなければなりません。それらを解決する一つの手段として、エシカル消費が必要なのです。
具体的なエシカル消費
私たち一人ひとりができるエシカル消費。実際にできるエシカル消費はどんなことがあるでしょうか。
エシカル消費の商品
世の中にはエシカル消費のできる商品、サービスが多く存在します。環境に優しい素材やリサイクル素材で作られた商品は環境問題の解決につながったり、フェアトレードや寄付付きの商品は社会問題を解決できたりします。また、地元の名産品を消費することもエシカル消費になります。最近ではエシカル商品のみを取り扱ったセレクトショップも存在するため、より簡単にエシカル消費をすることが可能です。
エシカル消費のマーク
エシカル消費ができる商品、サービスの目安となるマークが存在します。有名なものだとエコマーク(ライフサイクル全体を通して環境負荷が少なく、環境保全に役立つ商品)や、グリーンマーク(古紙を40%以上利用して作られた商品)です。ほかにも、海のエコラベルMSCやオーガニックテキスタイル世界基準のGOTS等、多くのラベルが存在します。
エシカル消費の企業
エシカル消費ができる企業は多く存在していますが、その中でも有名な企業を紹介します。
・スターバックスコーヒージャパン株式会社
世界30カ国、40万人以上の生産者からコーヒーを購入しているスターバックス。コーヒーのサステナブルな未来をつくる責任を担っています。サスティナビリティの実現を目的とした「グリーナーストア」という店舗もあり、食品ロスに配慮していたりソーラーパネルが取り付けられていたりと素晴らしい取り組みをしている環境配慮型店舗です。2025年までに「グリーナーストア」を全世界で10000店舗の出店を目指しているそうです。
・株式会社セブンイレブン ジャパン
店頭で、「エシカルプロジェクト」というラベルを見たことはありませんか。これは販売期限が近くなった商品を購入した際にボーナスポイントがもらえるという取り組みです。このエシカル消費によって食品ロスを解決することができます。
・アディダス株式会社
2021年に生産したアディダス製品の10品目中6品目が持続可能な素材で作られていると発表されています。プラスチック廃棄物をアップサイクルして作られた商品や、ヴィーガンレザー(人工の革素材)を使用したスニーカーを取り扱っています。サステナブルな取り組みを数多く行っており、様々な問題に貢献しています。
エシカル×ファッション
少しずつエシカルについて理解していただけているでしょうか。次はエシカルとファッションの関係性についてです。
エシカルファッションってなに?
エシカルファッションとは直訳すると「道徳的で倫理的なファッション」という意味になりますが、具体的には環境や人・動物に配慮したファッションの事を指します。
例えばオーガニックコットンで作られた洋服は極細の糸を使用したものなので、旧式の古い型の機械でゆっくりと丁寧に作られています。
「エシカルファッション」には10の定義があり、その中には「生産する労働者の賃金・権利・労働環境を守っている」や「リサイクル・エネルギーやごみ問題への取り組みをしている」「動物の権利を守っている」などまさに生産から流通・廃棄まですべての過程でエシカルに考えられているものになっています。
「環境負荷」「動物搾取」「労働環境」「衣類ロス」など様々な事象を解決すべく、ファッション業界では今「エシカルファッション」に注目が集まっているのです。
エシカルな主な素材
オーガニックコットン
コットンは、特に女性はお化粧や保湿など日常の中でとても馴染みのある製品ではないでしょうか。
その中でもオーガニックコットンはエコなファッションの代表格として幅広く知られています。
オーガニックコットンは基本的には農薬や化学肥料を用いず栽培された農地で育てられた自然に近い状態の製品なので微生物が分解しにくいのです。
着用する上でのメリットとしては、吸湿性や通気性、更には保湿性や保温性にも優れているので暑い時期から寒い時期まで、1年中着る事が出来ます。
麻(ヘンプ)
多くの種類のある麻の中でもヘンプは最も天然の機能性にあふれており、オーガニックコットン同様に農薬や化学肥料を使用しない為環境負荷がとても少なく、大量のCO2を吸収するなど地球環境の浄化にもとても良いとされています。
着用する上でもメリットとしては、繊維に微細な穴が無数にある構造の為、水分を素早く吸い上げ水分の蒸発を促進してくれます。
また、抗菌性や制菌性に優れているので臭いのも元である雑菌の繁殖を防ぎにおいの元を消し去ってくれます。
テンセル
木材パルプから作られるテンセルは、植林管理された森の木を使い溶かして作られます。
更に溶かす際に使う液体は99%以上が再利用される為に環境への影響を最小限に抑える事が出来ます。
コットンやウールなど幅広い布地と合わせる事が出来、品のある光沢素材である上吸湿力にも優れているので冬など寒い時期でも人気の素材です。
エシカルに取り組んでいる主なブランド
上記では「エシカルファッション」の意味と、主に使用される素材をご紹介しました。
それでは、素材におけるサステナビリティ(持続可能性)の取り組みを行っているブランド会社をご紹介しましょう。
H&M
H&Ⅿは元々「サステイナビリティ」を根本としており、まさに上記でご紹介したオーガニックコットンやサイクルポリエステルなどの素材を使用しており、素材の名称と使用している度数の割合と共にグリーンのタグも添付されています。
また、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんがH&Мはブランドや状態に関わらず「古着回収サービス」を行っています。効率的に不要な服を世界規模で回収し、リサイクルできる方法や、できるだけゴミを出さない方法を見つけています
ユニクロ
ユニクロを展開している会社「ファーストリテイリング」は「6・気候変動への対応」「12・エネルギー効率の向上」「13・水資源の管理」「15・廃棄物削減と資源効率の向上」「17・化学物質管理」などの5つの注力領域で環境負荷の低減を進めています。
そのうちの取り組みの1つ、リサイクル・リユースでは「世界中に眠るユニクロのダウン商品を回収し、最新アイテムにする。」という資源を有効に使い、環境への負荷を減らす取り組みを行っています。
エルメス
1837年にフランスで設立されたエルメスは今や世界に名を轟かす有名ブランドですね。
そんなエルメスは※パリ協定に基づくエネルギー移行に参加する為に、自社の消費電力に再生可能エネルギーを取り入れるなどしています。
また、皮革製品に使われた後に余った全ての皮素材の端切れをカードケースや、ストッパーの持ち手など別の形に活用しています。
その他CO2削減・廃棄物削減に取り組んでいます。
※パリ協定・・・2020年以降の気候変動問題に関する国際的な取り組み。1997年に定められた「京都議定書」の後継となるもの。
RYE TENDER
RYE TENDER(ライテンダー)は日本生まれのエシカルなアパレルブランドです。
「製品製造の余った原料から衣服を生産する」「素材が持つ本来の無力を引き出すデザイン」など素材選びから販売まですべての工程を確認するといった徹底した仕組みがあります。
つまり、生産過程において廃棄処分されるはずだった残糸や残布などの「余った原料」から生産した衣服を届けるプロジェクトです。
今持っている洋服着なくなったら…
さて、エシカルファッションに取り組んでいるブランドをご紹介しましたが「環境に良いファッションにしなきゃ」と言って、無理に新しく洋服を買う必要はありません。
リメイクする
今やメルカリやジモティなど様々なアプリで、ちょっとしたものでもすぐ出品できる時代になりましたね。ハンドメイドのアクセサリーや小物やペットグッズまで幅広く展開されています。
胸元にシミがついてしまい汚れが落ちない場合は袖や襟を切り落としてタンクトップに縫い付けたり、デニムパンツを簡単なバッグや小物にしたり、マフラーの糸を解いてボール状に作り直せばペットの遊び道具になったりします。
便利になった今の世でリメイクと聞くと面倒に感じるかもしれませんが、世界に1つだけのオリジナル品を1度作ってみたら意外と楽しいかもしれません。是非チャレンジしてみてください。
掃除に利用する
上記の場合服の中で汚れが少なかった場合ですが、全体的に破れてしまっていたり、汚れが酷くてもうリメイクしても使えないなという場合は適度な大きさに切って埃取りや革磨き、床掃除など様々な用途で利用する事が出来ます。
どうせお洒落を楽しむなら
縄文時代より人間は麻や綿など植物から繊維を造り、その身にまとってきましたね。
商物由来の繊維はその快適さや丈夫さなどから現代でも衣類の中心的な素材となっています。
しかし、今や日本の廃棄量は年間に約65万トンにものぼると言われています。
そのうちリユースやリサイクルされる割合はたったの26%です。
普段人が洋服を選ぶ基準は「デザイン・値段・素材」が主だと思いますが、そこで「誰が・どこで・どのように作ったものか・本当に今自分が欲しいものなのか・流行りだから欲しいだけではないか・流行っている時期が過ぎたら着なくなるだろうか」など今一度立ち止まって考えてみると良いかもしれません。「洋服を着る」という行為は人間なら当然毎日している行為です。その着ている服の素材や製造過程を考え行動するだけでも毎日が違って見えますよ。
まとめ
エシカルについて幅広く解説しましたが、最初から完璧にエシカルな暮らしをしようと思うと難しいと思います。自分にはこれならできるかもしれないと思える簡単な所から始めてみると気分も良くなって、じゃあ次はこんなエシカルな行動を心がけよう!と少しずつエシカルな生活が日常になっていくと思います。一番は地球や環境に優しいのはもちろん、自分に優しい生活をすることを忘れずにエシカルな活動をしましょう。