公正に取引された商品を選ぼう。フェアトレードについて

バナナやカカオなどの農作物は途上国にとって非常に大切な輸出品です。しかし、公正な取引では無ければ農家の困窮は進みます。あなたの購入している商品は「フェアトレード」ですか?今回はフェアトレードとは何か、SDGsとのつながりなどを詳しく説明します。

フェアトレードって?

フェアトレードを直訳すると「公平な貿易」となります。

コーヒーやカカオ、バナナなど皆さんの食事を彩るさまざまな食べ物。日本はたくさんものを海外から輸入しています。時には驚くほど安く購入できることもありませんか?

本来、貿易は、輸入側・輸出側どちらにも利益をもたらすものです。しかし「一方の国は利益になるが、もう一方の国は利益にならない=公平ではない貿易」という貿易も多く行われているのが現状です。

こういった状況をなくすための仕組みが「フェアトレード」です。

フェアトレードを具体的にイメージするために、「公平ではない貿易」について、もう少し詳しく説明します。

公平ではない貿易って?

「不公平な貿易」の裏には世界の歴史があります。

 

16世紀以降、ヨーロッパの国々が植民地を拡大し、原住民の人々や奴隷を安い労働力として使う「プランテーション」という大規模農園をつくりました。プランテーションではタバコ・綿花・サトウキビなどの輸出時に市場価値の高い作物を大量に生産し、植民地支配をする国は大きな利益を得ていました。

そして19世紀、第二次世界大戦以降になると、植民地だった国はどんどん独立を果たしました。

しかし、経済的立場は公平にはならず、植民地だった頃と同じように「お金になる作物」を輸出し続ける必要があったのです。さらに輸出相手は、主に植民地支配をしていた国となり、独立後も輸出品は安く買い取られています。このような状況から半植民地状態より抜け出すことが難しくなっているのです。

実は、現在でもこういった状況が残っており、こうした格差をなくすために生まれた取り組みが「フェアトレード」なのです。

なぜ必要とされるの?

公平な貿易=フェアトレードはなぜ必要とされるのでしょうか?

その答えは「生産者や労働者の方が、人間として尊厳をもって生きていく権利」を保証し、実現するためです。

 

例えば、私たちが大好きなチョコレートの原料である「カカオ」。開発途上国ではカカオの生産で生計を立てている人が1400万人もいると言われています。そしてこの中には「児童労働」が含まれています。

児童労働とは、14歳未満の義務教育を受けるべき年齢の子たちが教育を受けずに働いていること。児童労働の温床の一つが「カカオ農園」なのです。児童労働の要因には、社会の慣習・伝統や教育・福祉制度の未設備などもありますが、ほとんどの場合「経済的貧困」が要因であると言われています。

児童労働は、長時間劣悪な環境で働くことにより、健やかな成長を妨げられるだけでなく、将来に必要な教育を十分に受けることができません。また、雇い主からの扱いに精神的・肉体的に傷を負ってしまうことも少なくないのです。

フェアトレードでは、途上国の生産者・労働者だけではなく、先進国を含む周縁化された人々の人権を保障し、貿易を公平なものへ変革することで、持続可能な開発(=SDGs)に寄与することを目標としています。

SDGsとのつながり

SDGsとは、2015年9月に国連サミットによって採択された17の目標です。

「誰一人取り残さない」という理念の元、先進国・途上国に関わらず、より良い世界を作るために世界中のみんなで取り組むべく生まれました。詳しい説明はこちらのページにあるので、是非参考にしてみてください。

 

SDGsの目標を達成するために、日本を含む世界中の政府・企業が努力しています。そして、このSDGsにおいて、フェアトレードはほぼすべての目標と関係しています。

 

世界の人口の40%は農業で生計を立てており、1億5000人以上とされている児童労働者の70%が農業に集中しています。フェアトレードは貿易の仕組みを公平・公正にすることで、生産者・労働者が自らの力で貧困から脱することを目標としています。

この取り組みが広がることで、環境・社会を守りながらサステナブルな世界を実現することができるのではないでしょうか。

特に大きく寄与する目標

日本において、フェアトレードの教育啓発や、製品認証などを行っている「フェアトレードジャパン」では、下記の目標達成に大きく寄与するとしています。

フェアトレードジャパンより引用

 

フェアトレードが広まることは、世界中の人々が幸せになることに近づくことなのです。

私たちにできること

フェアトレードがなぜ必要とされるのかについては、理解していただけたと思います。

「大規模な話ばかりで、個人でできることはなさそう・・・」と考えてしまう方も多いかもしれません。

しかし、私たちが日ごろの生活で力になることができることがあります。

それは「フェアトレードの認証ラベルがついた商品を買う」ことです。

フェアトレードの認証ラベルって?

どの商品がフェアトレードのものなのか判断する指針になるのが「認証ラベル」。

認証ラベルとは第三者機関が安全性などの基準を設け、その基準を満たしているかの審査に受かった商品にだけつけられるラベルのこと。フェアトレードに関する認証ラベルは「国際フェアトレード認証ラベル」といい、世界的に有名な倫理的ラベルの一つです。

フェアトレードジャパンより

どのような商品についているの?

フェアトレードの認証ラベルは、さまざまな商品についていますが、特に多いのは下記のものになります。

 

  • コーヒー
  • テキスタイル(繊維商品)
  • スパイス
  • サトウキビ
  • チョコレート(カカオ商品)
  • お茶
  • フルーツ
  • ワイン 

など。

普段購入している商品に認証ラベルがあるか是非確認してみてください。

その他の認証ラベル

フェアトレードの認証ラベルだけではなく、さまざまな種類があります。フェアトレード以外の認証マークについては、こちらで紹介しているので参考にしてみてください。

まとめ

私たちが購入するものひとつで、世界の人々の幸せに繋がることができる「フェアトレード」の取り組み。自分の生活を豊かにしてくれている商品が、他の誰かの生活も豊かにしていると考えると、更に嬉しくなりますよね。

無理のない範囲で、日々の生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?