メタバースってなに?ゲームやTVにも取り入れられる新技術!

近年よく耳にする「メタバース」

どのようなものなのか、あまり知らない方も多いのではないでしょうか。一言で言うと「仮想空間」です。インターネット上に構成される3D世界にアバターとして自分を投影し、楽しむことができるのが特徴。メタバースはどのように活用されているのか、なぜ注目されているのかを解説します。

メタバースって?

メタバースとは、仮想現実の次の進化形態であり、現実世界を超えたデジタル空間のことを指します。インターネット上に構成される3D世界にアバターとして自分を投影し、楽しむことができます。

最大の特徴は現実空間に近い状態で、仮想空間内で自由に活動できること。この空間の中で、自分自身をアバターとして表現し、他の人と交流したり、仮想物件を所有し自分の好きなように改造したりすることができます。

 

“アバター”と言えばゲームの印象が強い方も多いと思いますが、メタバースに注目が集まっているのは、ゲームやエンターテインメントへの利用だけではありません。医療、教育、ビジネスなど多岐にわたる分野において今後の展開が期待されています。例えば、遠隔地のメンバーと臨場感のあるコミュニケーションが味わえる技術、テレプレゼンスを実現し、協働作業を可能にできるのです。

さらに仮想通貨やブロックチェーン技術との結びつきも強く、経済活動やデジタル資産の管理もできるため、多分野の企業や投資家が注目し、メタバース関連のビジネスが盛り上がっています。

 

しかし、課題やリスクがまだまだあるのも事実。活用例やメリット・デメリットを説明していきます。

VRとは違う?

VR(仮想現実)とは、コンピューター技術を使って作られた、現実とは異なる仮想空間を体験する技術のことを指します。一般的には、VRヘッドセットを着用することで、自分自身が別の場所にいるような感覚を得ることができるのが特徴です。

具体的な違いは以下のようなものがあります。

 

1.スケールの違い

VRは、主に1人のユーザーが自分自身を完全に包み込むことを目的としており、そのためのヘッドセットを使います。一方、メタバースは、多数のユーザーが同時にアクセスして、広い仮想空間で活動することが可能です。

2.目的の違い

VRは、主にエンターテイメントやゲームに使用されています。メタバースも多く活用されていますが、それだけでなく医療・ビジネスなど多岐にわたる分野での展開が期待されています。

3.インタラクションの違い

VRは、主に自分自身を完全に包み込むことを目的としており、ユーザーは個人で現実の身体を動かして操作します。一方、メタバースではアバターを介して、他ユーザーとコミュニケーションを楽しむことができます。

4.世界の違い

VRは、主に1つの環境に集中します。一方、メタバースは、複数の環境やワールドがあることも多く、その中で活動することができるのが特徴です。

 

VRは主に1人で自己完結的に楽しむことを目的としており、専用のヘッドセットを用いて仮想空間に没入します。しかし、メタバースでは複数の人と仮想空間内でコミュニケーションを取ることができ、多人数でのコミュニケーションが重要視される傾向にあります。

どんなことができるの?

様々なことを可能にするメタバースですが、具体的にはどのようなことができるのでしょうか?メタバースで、できることの一部を紹介します。

 

1.ビジネス活動

メタバースを利用し、会議やプレゼンテーション、展示会や販売活動を行うことできます。時間や場所にとらわれずに、世界中の人々とネットを通じ、リアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。

2.エンターテイメント

仮想世界のゲームでは冒険やスポーツ、仮想空間では音楽ライブやパフォーマンスなどを楽しむことができます。遠距離にいたり、会うことが難しかったりする友人ともオンラインで一緒にゲームができますし、ライブイベントにも一緒にいくことができるのです。

3.教育・訓練

意外かもしれませんが、教育の分野でも活用されているメタバース。例えば、遠隔地の生徒との交流、リアルタイムでの実験やトレーニング、芸術や文化の学習などが行われています。

4.コミュニティ・ソーシャル

複数の人々が同時に集まって、コミュニティを形成することができるのがメタバースの特徴。例えば、パーティーやライブ、ショッピングやスポーツ観戦、交流や交友などもメタバース上で、できてしまいます。

5.クリエイティブ活動

ユーザーは自分自身でアバターや3Dオブジェクトを作成することができます。

アバターだけにとどまらず、衣装、家具や建物などの設計・制作、仮想空間での写真や映像制作、仮想空間でのアート作品の展示などがあります。

 

メタバースはまだまだ発展している最中であり、今後は多くの分野での活用ができるよう活用方法について開発・研究されています。

注目される背景

さまざまなことを可能にするメタバース。注目が集まる背景には、具体的にどのような理由があるでしょうか。

仮想空間での豊富な体験が可能

先述した通り、メタバースではさまざまな体験をすることができます。

自由度が高く、自分が発信者になることもできるため、多くのクリエイターが活躍していく場に成長するでしょう。さらに仮想空間内では、大規模なイベントもできるため、エンターテインメントとしてさまざまな分野で大きく発展していくと考えられています。

グローバルなコミュニティの形成が可能

メタバースは、現実世界の国境や言語の壁を超えたグローバルなコミュニティの形成が可能です。時間や場所にとらわれずに、世界中の人々とリアルタイムでコミュニケーションを取ることが可能です。

ビジネスモデルに新しい風を

新しいビジネスチャンスを生み出すことも期待されているメタバース。

例えば、仮想空間での商品販売や、仮想空間上での広告展開などが考えられます。また、リモートワークの普及に伴い、オンラインでのビジネスを行うことが増えてきており、その需要に応える可能性があります。

社会問題への解決に貢献

現実空間では解決が難しい社会問題を、メタバースで解決できる可能性があります。例えば、身体障害者が現実空間で移動するのが困難な場合でも、仮想空間上では自由に移動することができ、ストレス発散に繋がります。また、引きこもりや不登校になってしまった子どもたちが社会に興味を持つ場として、メタバースが活用できるのはないかといろいろな自治体で試みが始まっています。

技術の進化

新型コロナウイルスの影響により、オンラインでのコミュニケーションが日常に取り込まれました。それに伴い、ネットの通信・音質は向上し、遅延も減少傾向にあります。しかしより臨場感のあるコミュニケーションを可能にするため、メタバースに注目が集まっています。

 

今後、ますます多くの企業や団体がメタバースに注力し、新たなビジネスやコミュニケーションの形を生み出していくことが期待されています。

メリット・デメリット

それでは実際に利用する際のメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

メリット

前述した注目される背景と重複してしまうものもありますが、メタバースを活用するメリットとしては下記のようなものが挙げられます。

 

1.新たな経済圏

メタバースで仮想通貨を使用して実際に買い物をしたり、仮想空間内の不動産を売買したりすることができます。さらに実店舗をなくし、メタバース内に店舗を移すことで、企業としては多くのコストカットが期待できます。

2.気軽にイベントへ参加できる

新型コロナウイルスが流行した際には、感染予防のため多くのライブ・コンサートが中止され、エンターテインメントが底流してしまいました。しかし実際にイベント会場へ行き、直接人と触れ合う必要がないメタバースでは、いろいろなイベントへの参加が手軽になります。

また、遠方にいる友人ともアバターで空間を共有することができるため、物理的距離を感じづらく、一緒にイベントに参加している感覚が生まれます。

3.不登校・ひきこもりの方が社会とつながる場に

文部科学省が行った調査では、2021年度における小中学生の不登校者数は24万4940人で、前年度から4万8813人(24・9%)と、激増。そのような子たちへ向けて、社会とつながるきっかけにしてもらおうと三重県教育委員会がメタバースを活用しています。

引用:三重県教育委員会

4.匿名活動ができる

個人でメタバースを利用する際は、ハンドルネームなどを利用し、匿名で活用することも可能です。それにより、現実世界とのつながりを断つことができ、ストレス発散や心理的開放につながる人も多いでしょう。

デメリット

1.人間関係の希薄化

現実空間での人間関係を犠牲にしてまで、メタバース上での活動に依存する人が増える可能性も懸念されています。また、メタバース上でのコミュニケーションは、現実空間での人間関係に比べて希薄になる可能性があります。

2.技術やコストの負担

メタバース上で快適にアバターを運用するために、専用の操作や環境が必要になる場合があります。それらを準備できない人とできる人の格差が問題になる場合も出てくるでしょう。さらにセキュリティー対策も欠かせないため、メタバース独自の対策も必須。対策が脆弱だと、ハッキングなどの恐れも出てきてしまいます。

また、メタバースはスマートフォンでも楽しむことができますが、PCに比べると操作性が悪いため、本格的に楽しむためには、スペックの高いPCが必要となる傾向にあります。

3.法整備の問題

現状、メタバースに関する法整備はまだまだ追い付いていません。そのため、ハラスメントの問題や未成年が引き起こすトラブルについての整備も不十分です。今後、整備が進むとは思いますが、整備が進むまでは注意していかなければなりません。

4.メンタルヘルス問題

アバターが現実の自分自身とは異なる存在であるため、自分自身とのギャップを感じメンタルヘルスの問題が発生する可能性も。

さらに没入感が高いため、メタバースに依存し入り浸ってしまう人も増えるのではないかと問題視されている面もあります。

 

メリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、活用していきましょう。

活用例

すでに多岐にわたる分野で活用され始めているメタバースですが、具体的にはどういったことに活用されているのでしょうか。

ゲーム

既にゲームの世界では広く活用されているメタバース。

例えば「Second Life(セカンドライフ)」というゲームがあります。” メタバースの先駆者”、”早すぎたメタバース”とも言われており、2003年に米リンデンラボ社からリリースされました。オンライン仮想世界ゲームで、プレイヤーは、自分のアバターを作成し、メタバース上で生活することができます。ストーリーや目的などがなく、世界のほとんどがユーザーの手によって作られているのが特徴。今も稼働を続けていて、世界中のプレイヤーが楽しんでいます。

エンターテインメント

ゲームだけではなく多くのエンターテインメントにも活用されているメタバース。

例えばテレビ朝日系では「新世界メタバースTV!!」という番組が2022年より放映されています。「光と星のメタバース六本木」を舞台にメタバース・VTuber・オリジナルゲームなどを開発。最先端エンタメをお届けするメタバースバラエティとなっています。

特徴としては、メタバース上で視聴者が参加できる企画が多いこと。

専用アプリを入手することで「光と星のメタバース六本木」に誰でもアクセスすることができます。そこでは、放送内容に連動した様々な企画を楽しむことができるのです。

引用 テレビ朝日

教育

オンライン教育の可能性が広がることが期待されている教育分野。

例えば、バーチャルな学習空間を構築することで、生徒がリアルな環境で体験や実験を行うことができます。また、リアルタイムでのアバターによるチャットやコミュニケーションを通じて、生徒同士や教師と生徒の交流を深めることも可能です。このように、メタバースを活用することで、従来の教育では提供しにくかった体験や学習方法を提供することができます。生徒たちは、よりアクティブに学習に参加し、主体的に学びを深められるのです。

ビジネス

メタバースは、ビジネス分野でも様々な活用がされています。いくつかの活用例を紹介します。

1.仮想商店

メタバースを利用して、仮想空間上にショッピングモールやストアを作り、商品を販売することが可能です。オンラインショッピングが普及する中で、従来のウェブサイトに加え、より身近で臨場感のあるショッピング体験を提供することができます。

2.仮想イベント

展示会やカンファレンス、音楽フェスなどのイベントを開催することもメタバースでは実現することができます。多くの制約を受けないため、より大規模なイベントや、従来のイベントでは実現が難しかった体験やコミュニケーションが可能となります。

3.仮想オフィス

仮想オフィスでは、従来のオフィスと同様の業務を行うことができます。リモートワークや分散型チームに適しており、従来のオフィスの制約を受けずに、チームメンバー同士のコミュニケーションや協力を促すことができます。

4.仮想不動産

不動産業界でも活用されているメタバース。現実にある物件を仮想空間上で再現し、内部を見学することができるようになっています。また、リモートワークが増加する中で、仮想オフィスや仮想住宅を提供する不動産会社も増加しています。

 

上記のように、より身近で身体的な制約を受けない、新しいビジネスチャンスが生まれます。メタバースを活用することで、顧客とのコミュニケーションやビジネス活動の効率化、創造的なアプローチを通じたイノベーションが可能となりつつあります。

まとめ

すでにメタバースが活用されている事例も多くあるため、気になった方はぜひ詳しく調べてみてください。

たくさんの企業がメタバースに注力し始めており、今後の展開も楽しみですね!個人でもメリット・デメリットをふまえ、生活をより豊かにしていくために利用してみるのもいいかもしれません。