省エネしながら快適な家に! HEMSを導入する方法とメリット
「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略称である、HEMS(ヘムス)。HEMSは電気やガスなどのエネルギーを管理し、ムダをなくすためのシステムです。省エネ対策として今後新築住宅を中心に普及することが期待されています。今回は、HEMSの導入方法やメリットについて解説します。
HEMSとは
現代社会の中で、電気やガスのない生活を想像することはできません。しかし、家庭から排出される二酸化炭素は地球温暖化の原因となっており、その削減は重要課題だといえるでしょう。そのため、エネルギー浪費の抑制に役立つ新しい生活習慣が求められているのです。
そこで注目したいのが、HEMS。「電気やガスを大切に使う生活」を実現させる、メリットの多いシステムとして話題を集めています。HEMSは電気などの使用量がモニターで閲覧でき、使用状況を把握、管理することができます。また、HEMSに対応した製品を使えば、自動制御や遠隔操作も可能になります。太陽光発電や蓄電池との連携も可能で、発電状況や貯めた電力の確認などができます。
日本政府は2012年に策定した「グリーン政策大綱」で、2030年までに「すべての住まいにHEMSを設置すること」を目指しています。
HEMSの仕組みと導入法
HEMSは、家屋や居室内にあるエネルギー機器(発電機を含む)の活動を取りまとめるシステムです。導入の際に必要なのは、HEMSに対応した分電盤。どんな住宅にも必ず設置されている分電盤をHEMS対応の分電盤に交換することで、HEMSを利用できるようになります。
また、HEMSにより集まったデータが確認できる専用モニターを設置できれば、さらに便利です(手元にあるパソコンやタブレットとの連携も可能)。
HEMSを導入するメリット
ここまでHEMSの概要を紹介しました。次に、HEMSを導入することで、どのようなメリットがあるのかを説明していきましょう。
エネルギーを「見える化」できる
HEMSを導入すると、家庭内にあるエネルギー機器の情報が一元化されるため、その使用状況がモニターを通じ、ひと目で確認できるようになります。太陽光発電やエネファームと連携すれば、家庭でどれだけのエネルギーがつくられ消費されたのかを細かく把握できます。
また部屋(分岐)ごとの使用量だけでなく、電気代も同時に確認できるため、節電意識を高めるには持ってこいだといえるでしょう。家計の節約はもちろん、環境負荷の低減にも役立つ可能性を秘めているのです。
電化製品の自動制御や遠隔操作ができる
HEMSをスマートフォンと連携させると、より高いメリットを感じられるようになります。スマートフォンに専用のアプリケーションをダウンロードし、HEMSに対応した家電製品を使用することで、照明や床暖房の点灯・消灯、電動シャッターの操作、お風呂のお湯張りなどが、外出先から遠隔操作可能になるのです。快適な生活や、無駄な待ち時間の短縮に役立ちます。
節電しながら快適に過ごせる
HEMSを導入して使用電力量を把握することで、「毎月の使用電力量の目標値設定」が容易になります。またHEMSには「使用電力量の上昇を察知する機能」が搭載されており、エアコンの設定温度や照明の明るさを自動調節することで、効果的な節電をサポート。快適な室内環境を維持しながら、電力浪費を抑制する毎日が実現しやすくなります。
ピークシフトが行える
HEMSを導入すると「どの時間帯に、どのくらい電力量を使用したか」をグラフ表示から簡単に把握できるようになります。電力消費の少ない時間帯にバッテリーの充電をしておき、多い時間帯にはそのバッテリーを使用するなどといったピークシフトを行うことで効果的な節電を実現できます。
また、一般的に電力使用量の増える日中のピークタイムに、多くの人が電力使用を意識的に抑えることで、環境や電力供給システムへの負荷軽減につながります。
HEMSを導入するデメリット
HEMSのさまざまな導入メリットを紹介しましたが、デメリットがないというわけではありません。以下にその一例を紹介します。
HEMSに対応した電化製品がまだ少ない
HEMSとスマートフォンを連動すると、電化製品の自動制御や遠隔操作が可能になると前述しましたが、これは自宅で使用している電化製品がHEMSに対応していることが前提となります。
しかしHEMSが一般化し始めたのは近年のことですから、まだまだ未対応の機種が多いのが現状です。この問題が解決し、多くの人がHEMS本来の実力を実感できるようになるまでには、もう少し時間がかかるといえるでしょう。
費用対効果が分かりにくい
HEMS導入にあたっては購入費用や工事費用がかかります。しかし、HEMSの主な利用目的は、日々の電力浪費を節約することであり、何らかの出費が大幅に削減されるといったシステムではありません。そのため、電気代の節約分で導入コストを回収できるかどうかの費用対効果が分かりにくく、導入に踏み切れないという人もいるようです。
いかがでしたでしょうか? 今回紹介したように、HEMSにはメリットもあればデメリットもあります。確かにHEMSの導入には費用がかかりますが、HEMSのシステムが地球環境問題の改善につながることを重視して設置する人もいます。HEMSのメリットに高い将来性を感じた人は、ぜひ上記の内容を参考に、導入を検討してみて下さい。