エコキュートとは? 電気温水器との違いや特徴について
ガス給湯器に代わる給湯システムの「エコキュート」。エコキュートとはどのような製品なのか、同じように電気を使ってお湯を沸かす電気温水器とは何が違うのかなど、その特徴やメリット・デメリットについて解説します。
エコキュートとは
エコキュートとは、ヒートポンプ技術を使って空気の熱でお湯を沸かす家庭用給湯システムの一種で、自然冷媒として二酸化炭素(CO2)を使用する機種の総称です。
エコキュートという名称は日本の電力会社・給湯機メーカーが使用している愛称で、エコロジーの「エコ」と給湯をもじった「キュート」を組み合わせてネーミングされました。現在は関西電力の登録商標となっています。正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」です。
エコキュートの仕組みと機能
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成されています。ヒートポンプはCO2を冷媒として熱を作り出し、貯湯タンクは作られた熱で温めたお湯を貯蔵します。
わかりにくいのはヒートポンプがどのようにして熱を作り出すのかという部分でしょう。まず、「自然冷媒」とは熱を伝達する性質がある自然界に存在する物質のことです。中でもエコキュートで使われるCO2は可燃性や毒性がなく、他の自然冷媒であるアンモニア、イソブタン、プロパンなどに比べて安全です。また、従来は人工の物質であるフロンが冷媒としてよく使われていましたが、オゾン層破壊物質であることが問題視されて現在は規制対象になっています。
エコキュートでは、外気をヒートポンプ内に取り込み、取り込んだ空気中の熱を、熱交換器を使って自然冷媒であるCO2に吸収させます。次に、熱を持ったCO2を圧縮機で圧縮し、約90℃の高温にします。さらに別の熱交換器を使ってCO2の熱を水に伝えてお湯を作ります。熱交換器は温度の高い流体(液体や気体)から低い流体へと熱エネルギーを移動させることで加熱や冷却を行う機械です。その後、冷媒であるCO2を膨張させて再び低温にし、再び待機中の熱を取り込んで、このサイクルを繰り返しながらお湯を作り、貯湯タンクに貯めていきます。
ヒートポンプはもともとエアコンなどの空調に利用されてきた技術で、1の電気エネルギーを使って3の熱エネルギーを取り出すことができるため非常に効率的です。
また、エコキュートには住宅用給湯システムとして多くの便利な機能が付いています。フルオートタイプを選べば自動湯はり、足し湯、追い焚き、沸き増し、お湯はり予約、配管洗浄運転、非常用水取り出しといった機能が使えます。他に機能を絞ったオートタイプと給湯専用タイプもあります。
エコキュートと電気温水器との違い
電気温水器は電気ヒーターを使ってお湯を沸かし、貯湯タンクに貯める機械です。電気のみでお湯を沸かすので、機種にもよりますが、エコキュートの約3倍の電気代がかかると言われています。ただ、エコキュートのように室外機を設置する必要がないので、設置スペースは少なくてすみます。
両者の共通点としては、災害時など万一のときに貯湯タンクのお湯を生活用水として利用できることが挙げられます。
エコキュートのメリット
エコキュートは少ないエネルギーで効率的にお湯を沸かし、主に夜間の割安な電力を使います。給湯にかかる電気料金は月平均2,000~2,700円程度と言われ、ガス給湯器を使う場合と比べてランニングコストが割安になります。
また、エコキュートには学習機能が備わっています。各家庭で使う湯量とパターンを学習し、お湯切れがないよう経済的にお湯を供給することができます。お風呂の準備も基本的におまかせで問題ありません。
環境にやさしいのもエコキュートのメリットです。空気中の熱という再生可能エネルギーを使い、創エネと省エネを同時に実現できるという独自の特徴を持っています。
他にはお風呂でシャワーを使うときにキッチンでお湯を使うなどしても湯音や量が変わることがない点、さらに電気温水器との共通点でもある緊急時に貯湯タンクのお湯を利用できる点もメリットです。
エコキュートのデメリット
デメリットは導入コストがガス給湯器よりも高額になることです。また夜間に稼働する室外機の動作音が騒音だとして問題視されたことがあります。現在は静音タイプのものが普及していますが、設置場所には注意をすべきでしょう。
また、エコキュートならではの特徴として、誰かが泊まりに来たときなどお風呂の利用者数が増えたときにお湯切れが起きるケースが挙げられます。これは電気の安い夜間にお湯を作って貯めるため、超湯量以上にお湯を使うとお湯が足りなくなってしまうためです。お湯切れを回避するには、前日のうちに設定を切り替えておく必要があります。
オール電化住宅では、IHクッキングヒーターと併せて使われることが多いエコキュートは、単独で導入しても様々なメリットを得ることができる給湯システムです。メリットやデメリットを理解した上で、購入を検討してみてはいかがでしょうか。