電気を見える化できる! スマートメーターの特徴とメリット
電気使用量をカウントする電力メーターが、スマートメーターという新しいタイプの装置に切り替わりつつあるのをご存知でしょうか。スマートメーターとはどのような特徴や機能を持つ装置なのか、新しく設置することで電力会社や私たちにとってどんなメリットがあるのか解説していきます。
スマートメーターとは?
スマートメーターは電気使用量をデジタルで計測する、通信機能を備えた電力メーターです。
従来のアナログ式の電力量計(メーター)からスマートメーターへの取り替えは、2016年の電力自由化の前から大手電力会社によって順次、行われています。また、2016年4月1日以降、電力会社を変更する際には原則としてスマートメーターへの取り替えが必須となっています。
スマートメーターの機能と特徴
スマートメーターは各家庭やオフィスの30分ごとの電気使用量を計測し、なおかつ通信機能を使ってそのデータ(積算値)を電力会社のサーバーに送信する機能を持っています。通信には主に無線マルチホップ通信と呼ばれるものが採用されており、これはいわばバケツリレーのような形で情報を伝送していく方式です。
30分ごとの自動検針と通信が可能になったことで、従来、月に一度検針員が直接現場に足を運んで行っていた検診作業が不要になります。スマートメーターの指示数(単位は「kWh」)は、遠隔地の電力会社から簡単に確認できます。
また、HEMS(ヘムス)と呼ばれる専用機器を取り付けると、その家庭の電力の使用状況をモニター画面などで閲覧でき、各機器をコントロールしてエネルギー使用量を自動制御することも可能になります。さらに現在、スマートメーターの計測値はHEMS以外に、スマホアプリやパソコンでも閲覧可能になっています。
もう一つ、スマートメーターを取り付けたときに変わるのは、ブレーカーの作動の仕方です。これまでは契約容量以上の電気を一度に使用して「電流超過」となると、宅内などに設置されていたサービスブレーカー(契約ブレーカー)が落ちるようになっていました。しかしスマートメーターには内部にブレーカー機能も搭載されています。現在ではスマートメーターが設置された新築やマンションではサービスブレーカーが設置されていないことも多く、サービスブレーカーが無くてもスマートメーターのブレーカー機能が自動で作動するようになっています。スマートメーターの場合は、一時的にブレーカーが落ち停電状態となっても、約10秒後に自動で復旧するようになっています。
スマートメーターのメリット・デメリットは?
では、スマートメーターを設置するメリットとデメリットを整理して見てみましょう。
スマートメーターのメリット
検針員による電力メーターの読み取り作業が不要になるため、電力会社にとっては人件費などのコストや業務の負担軽減が達成できます。また離れた場所からのリモート接続や切断、アンペア設定なども可能です。
このことは、利用者にとっても自宅の敷地内に作業員が入ることがなくなるというメリットにつながります。アンペア変更もこれまでのようにアンペアブレーカーを取り替える必要がなくなるので簡単になります。前述した自動復帰するブレーカー機能も便利です。
HEMSなどを利用して家庭内の電気使用量や家電の電力消費量を見える化できるのもメリットのひとつです。ほぼリアルタイムで正確な電気使用量が把握できるため、そのデータを節電・省エネや最適な電気料金プランの選択に活用することが可能です。今後は電力会社が電力消費量の推移などのデータを分析して、利用者に最適なプランを提案するようなサービスも増えていくでしょう。また、電力の使用量の変化を把握し、高齢者の見守りサービスに応用するといったことも考えられます。
また近い将来には、家庭内ネットワークを介してスマートメーターが家電と通信し、家電との連携によって電力供給の最適化ができるようになるとされています。そのことでエネルギー消費管理の効率化が進むでしょう。
スマートメーターのデメリット
スマートメーターのデメリットはあまりありませんが、家庭内の電力消費量を電気会社に細かく知られるのは監視されているようで抵抗があるという意見もあります。そのデータがマーケティングなどに利用されることを懸念する人もいるでしょう。
また、万が一データがハッキングなどで覗き見され、外部に漏れると、個人情報の漏えいになります。
スマートメーターの設置はどのように進む?
スマートメーターの普及率は2024年度に100%になることが目標とされています。現在、スマートメーターが優先的に設置されるのは、電力会社を切り替えたときの他、家を新築したとき、古いメーターの検定有効期限が満了したとき、HEMSなどの電力メーター情報サービスを申し込んだとき、などとなっています。
スマートメーターの設置は大手電力会社が中心となって順次行われており、取り替えには特に費用はかかりません。また、工事の立ち会いなども不要です。ただし、低圧電力の契約をしている場合は、スマートメーター設置工事中に15分程度の停電が起こるケースがあります。高圧電力の契約の場合は原則として停電することはありません。
スマートメーターは今後、確実に普及が進んでいく装置です。そのメリットを知っていれば、利用者も有効に活用することができます。まずはあなたの家の電力メーターがスマートメーターになっているかどうか、ぜひ確認してみてください。