太陽光発電を導入する前にチェック!コストの目安とは
有害な物質を出さずに安全にエネルギーを出すことができる太陽光発電。再生可能エネルギーのひとつとして2009年くらいから注目されはじめ、今や新築物件の屋根には当たり前のように太陽光パネルが搭載されています。一方、これから太陽光パネルを導入しようと考えている方にとって、最も気になるのは導入にかかるコストではないでしょうか。
そこで今回は、これから太陽光パネルの導入を検討されている方のために、必要なコストの種類とその目安について詳しく解説していきます。
太陽光発電の導入にかかるコスト
結論からお話しすると、住宅用太陽光発電の平均的な容量である4.90kWを設置する場合、目安としては150万円〜200万円ほど必要です。また、こうした初期費用に加えて太陽光発電を導入後はランニングコストも必要になります。例えば、導入後のメンテナンスにかかるコストは、4.90kWの場合年間およそ12,000円です。以下からはもう少し細かく説明します。
導入前にチェックしたい基礎知識。kW単価とは?
太陽光発電の取り付け費用は「1kW単価○円」というように表示されることが一般的です。実際にかかる導入コストを知るためには、まずこの「kW(キロワット)単価」について正しく理解しておく必要があるでしょう。
「kW単価」というのは、発電設備費、工事費、諸経費といった「太陽光システムの総額導入費」を「そのシステムの発電量(kW数)」で割って算出した数値のことで、これにより「1kW発電させるために必要な導入費用」を知ることができます。
なぜ1kWあたりの単価で導入コストを考えるのかというと、個人によって導入するパネルの数や総発電量、設置条件などが異なるため、コストの総額では比較がしにくいからです。kW単価という指標を使うことで、各メーカーの比較検討がしやすくなるというわけです。
コスト①機器代
太陽光発電はメーカーによっても性能や特徴が異なるため、導入にかかる費用もさまざまです。主な項目のひとつめは、太陽光パネルと設置に必要な周辺機器にかかる「機器代」です。
屋根の上に載せる「太陽電池モジュール(太陽光パネル)」、太陽電池モジュールを支える「架台」、ケーブルをまとめる「接続箱」、集めたエネルギーを家庭用の電力に変換する「パワーコンディショナー」などが挙げられます。
太陽光発電の仕組み、必要な機器の詳細はコチラ。
コスト②工事費
次にかかるのは、太陽光パネルを設置するための「工事費」。
機器代が安くても、工事費が入ることによって割高になる場合もあるため、内訳をしっかりと確認する必要があります。ちなみに、太陽光パネルにかかる費用が約6割、工事費が約2割になります。
コスト③諸経費
最後に、保証などを含めた「諸経費」です。
太陽光発電を導入するには、いくつかの手続きや申請が必要となります。例えば、資源エネルギー庁への新規認定申請や補助金申請などといったものが挙げられます。専門的な知識が必要な場合もあるため、基本的に代行を依頼します。
コスト④ランニングコスト
費用は設置して終了というわけではありません。
太陽光発電は10年以上の長期運用になるため、その後のメンテナンスにも費用がかかります。例えば、定期点検やパネルの清掃、修理費などが該当します。太陽光発電を導入する際には、このメンテナンス費用も計算のうちに入れておかなければなりません。
メンテナンスについて詳しくはコチラ。
コスト⑤撤去費用
長期運用とはいえ、寿命や故障、リフォームなどで撤去する場合のことも考えておかなければなりません。必要なコストは撤去費用と運搬費用の二つになります。場合によりますが、一般的には設置時と同等の費用がかかると言われています。
一方で、太陽光パネルの買取を行っている業者も存在します。予期せぬ撤去に備えて、設置前に一度調べてみたほうが良いでしょう。
太陽光パネル撤去について詳しくはコチラ。
太陽光発電の導入コストはどのくらいで回収できる?
太陽光発電を導入するには家庭用で150〜200万円ほどの設置費用がかかりますが、発電した電気を電力会社へ売る「売電」や、月々の電気料金が削減されることによって生まれた利益で、初期費用にかかったコストを回収することが可能です。この仕組みは「投資回収」と呼ばれていて、太陽光発電を導入する際には、あらかじめ投資回収にかかる期間を把握しておくのが理想的でしょう。
では、実際に太陽光発電を導入後の投資回収期間はどのようにして算出することができるのでしょうか。基本的な考え方としては「投資回収期間=(設置費用+メンテナンス費用)÷(売電収入+電気代削減額)」で算出することができます。日照条件やパネルの種類、発電効率などで異なりますが、一般的な家庭用太陽光発電は10年以内に投資回収が完了すると言われています。
ちなみに、太陽光発電は、発電量を上げようと思うと初期費用が高くなりますが、その分回収期間が短くなる可能性もあるようです。
太陽光発電をお得に導入する方法
初期のころと比べると設置費用はかなり安くなったとはいえ、太陽光発電を導入するためには、平均して200万円前後の費用が必要になります。ただし、次の3つの方法を活用することで、導入にかかる費用を抑えることも可能です。太陽光発電をお得に導入するための主な方法について、詳しく見ていきましょう。
自治体の補助金制度の利用
以前までは、太陽光発電を導入する際には国からの補助金を受けることができましたが、残念ながらその制度は2013年を最後に廃止となってしまいました。ただし、自治体によっては国の補助金制度が終了した後も、独自の補助金を交付しているところが数多くあります。太陽光発電の導入を検討している場合には、お住いの自治体へ事前に確認をしておくと良いでしょう。
ソーラーローンの利用
ソーラーローンは、太陽光発電を導入する際に利用できるローンです。銀行や信販会社などで扱っていて、住宅ローンなどと比べて比較的安い利息で長期間の融資も可能です。金利などの細かな条件は金融機関によっても異なるため、いろいろと情報収集をしたうえで、最適なものを選ぶようにしましょう。
第三者所有モデル
「第三者所有モデル」は、元はアメリカで普及したビジネスモデルで、「PPAモデル」などとも呼ばれます。最大の魅力は、太陽光発電を無償で設置できるということ。事業者が住宅に太陽光発電システムを無償で設置し、そこで発電された電力を住宅の所有者へ通常より安い単価で販売するという仕組みです。発電設備の所有者は設置した事業者となるため、導入費用はもちろん、メンテナンスや管理費用がかからないというのも大きなメリットと言えます。
自宅の電気代削減や環境保全への貢献だけでなく、災害や停電時の電源確保などさまざまなメリットがある太陽光発電。ぜひ上記の内容を参考にして、導入を検討してみましょう。