太陽光発電の寿命はどれくらい? パネルやパワコンの耐久性について

昨今のエネルギー不足や環境問題を解消する合理的なシステムとして注目を浴びる「太陽光発電」。日本でも年々設置住宅数が増えており、2030年度には520万戸、普及率は9.7%との予測が立てられています。「そろそろ我が家にも」と考えた時、気になるのはやはり“寿命”です。価格が下がってきたとはいえ、平均的な設置費用は100万円~250万円。何度も買い替えるわけにはいきません。太陽光発電システムを構成する機器類の寿命は、果たしてどれくらいなのでしょうか。

太陽光発電の寿命はどれくらい?

国税局が定める太陽光発電システムの法定耐用年数は17年となっています。では、実際に使用した場合の寿命はどのくらいなのでしょうか。システムの大部分を占めている太陽光パネルとパワーコンディショナーについて解説していきます。

太陽光パネルの一般的な寿命

太陽光パネルはそれ自体に可動部分がないために故障が少なく、法定耐用年数の17年を超えても問題なく使用できるケースがほとんどのようです。ちなみに、日本で初めて住居用太陽光発電を導入した「桑野太陽発電所」では、1992年の設置から現在まで一度も故障していないとのこと。各メーカーによる期待寿命は20年~30年とされていますが、それ以上稼働している太陽光パネルが現存しないだけで、実際の寿命はさらに長い可能性もあります。

パワーコンディショナーの一般的な寿命

パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭用の交流電力に変換する機械です。可動部分が多いため、その寿命は家電と同様に10年~15年ほどと言われています。
ただ、前述した「桑野太陽発電所」ではパワーコンディショナーもいまだに稼働しているそうなので、使用環境やメンテナンスの頻度によっては寿命を延ばすことができるかもしれません。パワーコンディショナーが故障すると、せっかく発電した電力を使うことができなくなるため、不具合に気づいたらすぐに修理を依頼しましょう。

太陽光発電の劣化の原因と耐久性

太陽光パネルは屋根の上に設置されるため、枯れ葉や鳥のフン、黄砂などの汚れがつくことは日常茶飯事。パネルの表面は強化ガラスでコーティングされているので簡単に割れることはありませんが、台風による飛来物が当たって破損するケースもあり、そうした汚れや破損が発電量の低下を招くこともあるようです。ほかにも、経年劣化による内部配線の腐食やはんだ剥離といったトラブルがよく見られています。

パワーコンディショナーは太陽光発電システムの心臓部ともいわれていますが、その耐久性は一般的な家電程度。経年劣化による性能の低下は避けられません。また、換気フィルターの目詰まりや、雨水の入りこみなども、劣化・故障の原因になります。

太陽光発電の寿命を長くする方法

多額の費用をかけて設置した太陽光発電システムは、一日でも長く使い続けたいものです。具体的には、どういったことを行うと寿命を長くできるのでしょうか。以下のようなことを心がけてみましょう。

定期的なメンテナンスを行う

2017年に施行された改正FIT法により、太陽光発電システムには定期的なメンテナンスが義務付けられています。メンテナンスの推奨頻度は4年に1回以上、費用は1回2万円程度が相場となっているようです。点検の内容は、各機器の破損・緩み・腐食などのチェックや電気的な測定など。「破損ぐらいなら自分で修理できそう」と思われるかもしれませんが、屋根の上での作業は大変危険な上、感電のリスクも伴います。さらに、不適切な修理をするとメーカーの保証が受けられなくなることもあるので、必ず専門業者に依頼してください。

また、発電状況をモニタリングすることでも不具合を見つけることはできます。毎日欠かさずチェックし、小さな変化にもすぐ気づけるようにしておくことが大切です。

メーカーや施工業者の保証を活用する

太陽光発電システムには、太陽光発電システムには一般的に最低10年間のメーカー保証が付いていることが多いです。これは、通常の使用下でシステム機器が故障した場合に無償で修理をしてもらえるというもの。追加料金を払うことで保証期間を15年にできる場合もあるので、大いに活用したいところです。

機器の保証とあわせて10年間または15年間の「自然災害補償」を用意しているメーカーもあります。主な保証内容は、火災や風災(台風・暴風雨)、落雷など。台風やゲリラ豪雨といった自然災害が発生しやすい地域にお住まいの方には嬉しいサービスと言えそうです。

そして、最近では「工事保証(施工保証)」の制度を設けている施工業者も多くなりました。これは、太陽光発電システムを取り付ける際の工事が原因で何らかのトラブルが発生した場合に補償してくれるというものです。太陽光パネルの取り付け工事で雨漏りが発生した、配線のたるみが原因で故障したなど、工事中だけでなく工事後の不具合にも対応してくれます。
これらの保証・補償の内容はメーカーや施工業者によって異なります。また、メーカーの認定を受けない施工業者に設置工事を依頼した場合、メーカー保証が無効になる場合がありますので、太陽光発電システムの導入を予定している方はあらかじめ確認しておきましょう。

定期的なメンテナンスを行えば寿命は長く、さらにメーカーや施工業者の保証も賢く使えば安心して使い続けることができそうですね。太陽光発電システムを設置している方や設置を考えている方は、上記を参考にして末長く活用していきましょう。