太陽光発電のメンテナンスは必要?費用はどれくらいかかるの?

太陽光発電は設置さえしてしまえばメンテナンスはあまり必要ないというイメージを持っている人もいるようです。しかし実際には定期点検や太陽光パネルの清掃といったメンテナンスをしなければ、発電効率や安全性がダウンする可能性があります。では、メンテナンスにはどれくらいの費用がかかるのか、太陽光発電におけるメンテナンスとそのコストについて解説します。

太陽光発電にはメンテナンスは必要?

太陽光発電システムは太陽光パネル、パワーコンディショナー、接続箱、分電盤、架台やケーブル類など精密な装置や部品を組み合わせて成り立っています。屋外に設置する部分も多く、適切なメンテナンスが欠かせません。

太陽光発電システムがスタートした頃には、メンテナンスの手間がそれほどかからないことが強調されて「メンテナンスフリー」と言われていた時期もありました。しかし、2017年に施行された改正FIT法では保守点検=メンテナンスの義務化が盛り込まれるなど、現在ではその認識は改められています。

メンテナンスが必要な理由①発電効率の低下を防ぐ

メンテナンスが必要な理由としては、まず太陽光パネルの汚れや機器の劣化・不具合があると発電効率が下がることが挙げられます。発電ロスによって、自家消費用の電力が減るため買う電気が増えます。また売電にまわす電力も減るため売電収入が減少することにもなります。

メンテナンスが必要な理由②安全性を保つ

太陽光発電の設備の劣化が進んだ状態で災害が起きれば、その分被害も大きくなるでしょう。また、太陽光パネル表面に付着した汚れによって影になった部分(ホットスポット)が熱を持って発火したり、損傷したケーブルや不具合のあるパワーコンディショナーが発火の原因になったりする可能性もあります。

メンテナンスを怠れば経済面、安全面の両方でリスクが高くなるということです。

太陽光発電に必要なメンテナンスと費用の目安

太陽光発電のメンテナンスは次のようなものがあります。それぞれ目安となる費用もチェックしておきましょう。

定期点検

住宅用の太陽光発電では定期点検の法的義務はありませんが、資源エネルギー庁の資料で4年に一度の定期点検が推奨となっています。長期間にわたって安定して運用するためには欠かせないものだと考えましょう。1回の費用は1~2万円程度です。定期点検では主に、太陽光パネルやパワーコンディショナー、架台など周辺機器の製品点検、パワーコンディショナーなどの運転点検、電圧測定や絶縁抵抗測定などの数値測定を行います。

太陽光パネルの清掃

太陽光パネルの定期的な清掃も必要です。砂埃、鳥のフン、花粉などが表面に付着している場合、専門業者による清掃・洗浄を行うのが確実です。費用は3~6万円で、太陽光パネルの数によって違ってきます。

パワーコンディショナーの交換

パワーコンディショナーは直流の電気を家庭内で使えるよう交流に変換する装置です。パワーコンディショナーの寿命は10~15年で、交換する場合は工事費込みで20~30万円です。部品を交換した場合も5~10万円ほどかかるでしょう。

その他にかかる可能性のあるコスト

上記以外にもかかる可能性のあるコストを挙げていきます。メンテナンスにかかる費用として想定しておきましょう。

点検や清掃のための足場代

屋根上に設置された太陽光パネルの点検や清掃の際には多くの場合、足場を組む必要があります。足場代は壁一面分で8万円前後が目安です。足場代はけっして安いものではないため、太陽光発電のメンテナンスに加えて屋根の葺き替えや外壁塗装などを併せて行うのも一つの方法です。

トラブルや故障があった場合の修理費

太陽光発電を使っていて何らかのトラブルや故障があった場合、あるいは定期点検で不具合が見つかった場合などは、当然ながらその修理費がかかります。費用は修理の内容によって異なります。メーカー保証の対象になる場合もあるので確認しましょう。また、屋根上など住宅に設置した太陽光発電は、建物の一部または家財として火災保険の保証対象となります。こちらもチェックしてみましょう。

メンテナンスは専門家に任せよう

定期点検などのメンテナンスを自力で行うことができるのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし屋根からの落下や太陽光パネルを傷つけるリスクを考えれば、自力でのメンテナンスは難しいでしょう。

清掃をする場合もパネルを雑巾などで拭くといった行為は表面の強化ガラスが曇ったり傷つけたりするおそれがあるためNGです。水道水を使うのもカルキ成分が付着し、水垢が付いて取れなくなるリスクがあります。そのためかえって費用が多くかかってしまうことにもなりかねません。

以上の理由により、メンテナンスはプロに任せるのが安心・安全です。太陽光発電を設置前の場合はそのことを見越して、メンテナンスを含めたアフターフォローがしっかりしている業者を慎重に選んでください。またメーカー保証がどのようになっているのかも事前に確認し、賢く利用しましょう。

太陽光発電を導入する際はメンテナンスについても考えておく必要があります。メンテナンスの費用も計算に入れつつ、太陽光発電を長く安全に使用していきましょう。