どう防げばいい? 太陽光発電の雨漏りトラブルの原因と対策

太陽光発電システムを利用するために自宅の屋根に太陽光パネルを設置する工事では、多くの場合、屋根に穴をあけることになります。その際、技術的に未熟な施工会社が工事を行ってしまうと雨漏りなどのトラブルが発生してしまうケースがあります。太陽光発電の施工による雨漏りのリスクを回避するには何をすべきなのか、その対策について解説します。

太陽光発電の雨漏りトラブルが起きる原因

雨漏りが起きる原因の多くは、太陽光発電のパネルを屋根に設置するときにしっかりと施工されていないことにあります。

最近の家屋でポピュラーなのは瓦屋根かスレート屋根です。これらの屋根の一番下には屋根に傾斜をつける際に用いる「垂木」を等間隔に取り付け、垂木に屋根の基礎部分である「野路板」の設置をします。そして野路板の上に雨漏りを防ぐ防水シートを敷き詰め、その上に瓦やスレートなどの屋根材を固定します。

防水シートはその名のとおり侵入してきた水を排出するためのものです。通常、太陽光パネルを垂木に止める際は野路板や防水シートに穴を開けてビスを取り付ける「直打ち工法」が用いられますが、適正でない場所に穴を開けたり、その後の防水加工をしっかりと行わなかったりすると雨漏りを誘発してしまいます。また、防水シート以上に雨漏り防止に大きな役割を果たしているのが屋根材です。太陽光パネルを設置する際に瓦を動かし、戻し方が悪くズレが生じていると、これも雨漏りの原因となります。

さらに、小さすぎる屋根、構造が入り組んでいる屋根、経年劣化が激しい屋根などには太陽光パネルの設置ができないことがあります。こうした屋根に無理に太陽光パネルを取り付けようとして施工に不備が生じ、雨漏りにつながるケースも少なくありません。

総じて言えば、こうした施工の不備の大半は施工会社の技術の未熟さによって起こります。なお、雨漏りは太陽光発電の工事後、数年を経てから発生するという例もあります。

太陽光発電の雨漏りトラブルを防ぐ対策

太陽光発電で雨漏りのトラブルを防ぐには、以下のような対策が有効です。

信頼できる施工会社に依頼する

まず何より大切なのは信頼できる施工会社を選ぶことです。太陽光発電の施工に関して十分な実績があり、雨漏りのリスクを承知した上でそれを防ぐノウハウを持っている業者が理想的です。

中には屋根が太陽光パネルの設置に向いていない構造や状態であっても安易に受注し、その結果、施工に不備が生じてしまうケースもあります。工事前に十分な調査を行って太陽光パネルの取り付け可否を知らせたり、適切な工事方法を提案したりしてくれるような施工会社を選びたいところです。

保証内容を確認する

雨漏りについて保証を付けている太陽光発電メーカーもありますが、基本的に施工が原因となる不具合については補償されないので注意してください。施工会社が雨漏りやその他の瑕疵が発生した場合の補償をしてくれるのかどうかをしっかりと確認しておきましょう。契約の際は保証内容について書面でのやりとりが欠かせません。

屋根に穴を開けない工事方法を選ぶ

太陽光パネルを屋根に取り付けるには、前出の直打ち工法以外の、屋根に穴を開けない工法も存在します。キャッチ法、シンプルレイエ法、支持瓦工法などの工法がそれで、施工後の雨漏りリスクを軽減できます。ただし、工事費は割高になるのが一般的です。

設置後の定期点検を怠らない

設置後、定期的な点検やメンテナンスを行うことも重要です。施工会社によっては無償で初年度のみ、もしくは10年間のうち数回の点検・診断サービスを実施している場合があります。有償でのアフターメンテナンスは雨漏り以外に太陽光パネルの洗浄などもセットになっていることが多いでしょう。また、施工会社が万一、倒産した場合などのリスクを想定して、メンテナンス専門会社と別途契約する方法もあります。

信頼できる施工会社を選ぶポイント

まず、太陽光発電メーカーが認めた設置業者には「販売ID」と「施工ID」が発行されます。施工会社を選ぶ際は、これらの正規資格を保有していることを必ず確認してください。できれば複数のメーカーのIDを持っている業者であれば、より柔軟な対応をしてくれることが期待できます。

上記の条件をクリアしていたとしても、信頼できる施工会社を選ぶのは簡単なことではありません。しかし、優良な業者であれば、たとえユーザーの知識が乏しくても質問に対してわかりやすく的確な回答をしてくれるものです。太陽光発電、太陽光パネルの設置工事、屋根の構造、雨漏りリスクについて豊富な知識を持ち、丁寧に説明をしてくれる業者を探しましょう。

工事の依頼を受ける際、実際に家屋や屋根の診断を行ってから見積もりを出してくるかどうかもポイントです。営業マンだけが先行して現地調査をせずに金額などを提示してくるような場合は要注意です。わかりやすい設計図面、個別の項目費用が記してある詳細な見積書を提出してくれるような業者であれば信頼度も高くなります。

また、過去の施工実績も知っておきたいところです。どのような施工事例があるのかを知るには、施工会社との打ち合わせ時に直接たずねてみるのが確実です。あるいはネットの口コミ情報も参考になるでしょう。

 

太陽光発電を設置する際の雨漏りリスクを回避するには、信頼できる優良な施工会社を選ぶことが重要です。上記を参考に、雨漏りを防ぐための業者選びを実践してみてください。